生物部では7月30日から8月1日にかけて、岡山県で2泊3日の合宿を実施しました。中学2年生から高校2年生までの34名が参加し、昨年の三重県に引き続き大学の研究施設見学や講義の受講、磯の生物観察、島でのフィールドワークなどを通して、水生生物の生態や生育環境について学ぶとともに、周辺の動植物にも目を向ける充実した3日間となりました。
1日目
初日は岡山大学農学部を訪問しました。
まず作物開花制御学研究室の後藤丹十郎教授と遠藤みのり准教授に農場を案内していただき、研究内容について説明を受けました。さらに、ゲノム編集技術を活用して開発されたトマト「シシリアンルージュハイギャバ」の試食も体験しました。また、野菜園芸学研究室では元木航助教から研究内容について紹介していただきました。
続いて、昆虫生態学研究室の宮竹貴久教授による講義を受講しました。宮竹先生は本校生物部のOBでもあり、研究のお話だけでなく、在校当時の生物部の活動についてもご紹介いただきました。
その後は理学部附属臨海実験所へ移動し、磯の生物観察を行いました。ウニやカニ、貝類など多様な海洋生物を観察し、生息環境について学びました。夜には灯火採集も実施し、集まってきた昆虫の観察を楽しみました。








2日目
早朝には宿の近くにある「大平山野鳥の森」を散策し、クワガタなどの昆虫を観察しました。
午前中は再び理学部附属臨海実験所を訪問し、所長の浜田麻友子教授から実験所の概要や、緑藻が共生するヒドラやプラナリアに関する研究についてご紹介いただきました。また、細野将汰特任助教からは頭足類の興味深い生態とご自身の研究についてお話しいただき、生物の繁殖戦略の多様性について理解を深めました。細野先生は大学院生のとき、「ヤリイカには雌をめぐって他の雄と戦って繁殖する大型のペア雄と、ペアに割り込み繁殖する小型のスニーカー雄、という異なる繁殖戦術をとる2種類の雄がいて、各雄がどちらの戦術をとるかは実は誕生日によって決まる」ことを発表されたということで、生物の興味深い特性のお話に、生徒達も熱心にメモを取っていました。その後、研究用に飼育されているグリーンヒドラなどの生物や、周辺海域に生息する海洋生物を見学しました。
昼食後は笠岡港から船で真鍋島へ渡り、島内での観察活動を行いました。宿の前に広がる浜辺では磯の生物観察を実施し、多くの生物を間近で観察することができました。夜には宿のおかみさんのご厚意で、部員たちが楽しみにしていたウミホタルの発光を観察しました。餌を入れた容器を海に沈めて採集し、刺激を与えると青白く光る様子に、生徒たちからは歓声が上がりました。改めてお礼申し上げます。








3日目
最終日は、有志で真鍋島ふれあいパークを訪れた後、船で笠岡港へ戻りました。その後、カブトガニ博物館を見学し、特別展の干潟の生き物コーナーなどを通して、生物多様性の保全について学びました。博物館周辺の湾はカブトガニ保護区に指定されており、地域や笠岡高校の生徒による保全活動によって個体数が回復傾向にあることも知ることができました。
その後は道の駅笠岡ベイファームを訪れ、一面に広がるひまわり畑を見学しながら昼食をとりました。
今回の合宿では、暑い時間帯は大学や博物館での講義・見学を行い、比較的涼しい朝夕にはフィールドワークを実施することで、安全に活動を進めることができました。大学での最先端の研究に触れるとともに、海や島の自然環境の中で多様な生物を観察した経験は、生徒たちにとって貴重な学びの機会となりました。生物への関心をさらに深めるとともに、自然環境の大切さについても改めて考える有意義な合宿となりました。







参加生徒の感想
作物開花制御学研究室・野菜園芸学研究室
- 今日は農場見学をさせてくださり、ありがとうございます!!特に印象に残ったのは、花のビニールハウスです。私は植物班に入っており、かわいらしいお花を育てるのが好きです。部活では「かすみ草」を育てていたのですが、夏の暑さに負けて枯れてしまいました。岡山大学のビニールハウスでは、花が一つ一つ大切に育てられていて、とてもきれいにかわいらしい花だらけで、すごく素敵な場所だと思いました。今日学ばせてもらったことをいかして、これからも頑張ります!!
- 今回は興味深い研究や農場見学を共有して下さり、まことにありがとうございます。大学のすぐそばに実験をしているサンプルがあることは、研究する上でとても便利で面白い研究ができそうな環境だと思いました。農場でどのようなデータをとっているのかに興味を持ちました。また、ゲノム編集食物を食べるのは今回が初めてでとてもおいしかったです。ありがとうございました。AIを活用してハチやハエの受粉を管理する技術はとても面白かったです。今後はAIドローンなどが広範囲の果樹園で利用されるのかと思うとワクワクします。
昆虫生態学研究室
- 今日は害虫についての興味深い講義をして下さりありがとうございます!!私は学校での課題研究(科学倫理)を「害虫」にしていて、この講義で害虫駆除についての話を聞き、新しい学びを得ることができました。避妊した雄の害虫を空から放出し、根絶するという方法を今まで知らなかったので、このことを課題研究にいかしていこうと思います。今日は本当にありがとうございました。
- 不妊虫放飼法はすごく大胆だなと驚きましたが、生物学が世間に役に立っている実例で、少し嬉しい気持ちになりました。死んだふりがまだ広く研究されておらず、新たな章を開いたように、小さな日常の疑問を大切にしようと思います。ありがとうございました。
理学部附属臨海実験所
- 藻類との共生にも互いに依存し合っている関係から色々な種類があることが分かりました。それぞれ環境に適した方法で共生関係が築かれ、同じ共生でも個体で全然違うのは面白かったです。実際に飼育室を見学して軟体動物の種類の多さを見て、今まで気にしたことがなかったような生物もいたので、次に採集するときは、ハゼやナベカなどの魚だけでなく軟体動物にも注目して採集したいです。
- イカやタコの頭足類について、食事にもよく見かける身近な動物でありながら、その生物の特徴や体の構造については知らないことばっかりで驚きました。独自の構造も持つからこその認知能力の高さや行動があるのだと思いとても面白かったです。
