11月13日(金)放課後、本年度の基礎医学講座第6回(最終回)が行われました。生化学教室 福井健二先生による「DNAの傷と病気」でした。

 まず、DNAから生命現象へつながるセントラルドグマについて話から始まりました。生命体はタンパク質からできており、それを形成するためにはDNAが設計図として働いています。日々の生活の中で、傷がついたDNAがたくさん生じても、DNA修復系によって修復されるそうです。また生命にとってDNAの傷は進化の原動力でもあり、新しい環境に適応した進化がDNA修復系と深く関与していることもよくわかりました。

 最後に先生の研究について話をしていただきました。遺伝子診断につながるMutLというタンパク質についても生徒にわかりやすく伝えていただきました。大学で行われる研究にも興味を持ったことでしょう。有意義な時間を過ごすことができました。

受講生の感想
  • DNAは人間だけでなく生物全体の基礎となるもので、それが2連鎖になっていて傷ついても直す仕組みがありうまく設計されていると感じました。DNAの傷と聞くと悪い影響を与える有害なものという気がしますが、一概にそうとは言えないことを知って驚きました。
  • 今回の内容は生物の授業でも学んだ言葉が出てきたのでとても分かりやすかったです。またDNAがどのように病気と関係しているのか順を追って説明してくださったため非常に聞きやすく、さらに自らの研究についても言及してくださってとても興味をひかれました。本日はありがとうございました。
  • DNAの構造(2本鎖、相補助など)やセントラルドグマなどは生物基礎の授業で習ったことがありましたが、傷がつくとどのような現象が起こるのか知らなかったので非常に興味深かったです。難しそうな内容も簡単な詞や具体例を用いて説明していただけたのでよく理解できました。MutLの研究はおもしろそうで、私もSpring-8に行ってみたいと思いました。
  • 私にとって初めて聞く話ばかりで興味深かったです。DNAの傷が必ずしも悪ではなく、抗体でわざとDNAの傷を利用していると知って驚きました。また、微生物がストレス下ではDNAの配列を積極的に変えると知って意外でした。そして、DNAの修復の研究で病気の診断と予防が可能になっていて、しかも保険適用になっていると聞いて嬉しく思いました。科学や医学の進化は生命の安全を高めると思うので、そのような研究は興味深いと感じました。ありがとうございました。
  • 遺伝子は目には見えないものでありながら、たった1つ傷ついただけで命を脅かす病気になる可能性をも持つことに驚きました。また、危険にもなりうるけれど、変異が起こらなければ生命の進化は起こらないのだから、進化の原動力というとてつもない可能性を秘めていて、とても興味を持ちました。