学習状況調査、定期考査結果、模擬試験結果、検定試験結果、大学進学実績、学校評価アンケート、生徒による授業評価アンケート、各種ルーブリック、図書館利用者統計など、中学・高校の教育活動では様々なデータが収集・活用されています。学校運営上も必要なデータの収集・分析は極めて重要です。中学校や高校ではまだ認知されていませんが、大学ではIR(Institutional Research)という取り組みが義務づけられています。中央教育審議会大学分科会によれば、IRとは「教育、研究、財務等に関する大学の活動についてのデータを収集・分析し、大学の意思決定を支援するための調査研究」とされています。そして各大学にはこれを担当するIR室等の部署が置かれている場合が多いのですが、その重要な目的の一つは「教育の質保証」です。専門性の高い高等教育(大学)において、中等教育(中学・高校)より「教育の質保証」が問われるのは当然と言えます。教育スタイルについては、中・高の教育現場でもコロナ禍で対面式からオンライン併用スタイルが一気に普及しました。そもそも有力大学ではすでにMOOC(Massive Open Online Course)が始動し、京都大学OCW(Open Course Ware)などはよく知られているところですが、技術革新・社会の要望から教育手法の多様化はさらに加速し、ある意味、大学存立の意味さえ問われる(つまり、やる気さえあれば大学という場所に行かずにオンラインで高度な教育を受けられる)状況になってきました。MITのマイクロ修士(MicroMasters)やマイクロクレデンシャル(Micro Credentials)などの出現で世界の高等教育には新たな潮流が生まれつつあるというのです。このあたりを踏まえ、『データに基づく教育と求められる質保証』をテーマに一般社団法人 大学IRコンソーシアム等の主催によりIR合同シンポジウム(オンライン)が開催されました。

ご依頼を頂き、高校現場でのIR的取り組みについて若干の紹介をさせて頂きました。私自身、大変勉強になる機会でした。高大連携とはよく言いますが、大学・高校関係者が双方の教育の現状・課題について最新の情報を共有しておくことの大切さを改めて感じました。